2023/09/25 コラム

著者:Africatime編集部

不妊治療が健康保険の適応開始に!適用条件について解説

不妊治療

不妊治療が健康保険の適応開始に!適用条件について解説

 

少子高齢化、晩婚化などにより、日本は人口減少の一途をたどっています。政府は、人口減少の流れに歯止めをかけるため、さまざまな政策を行ってきました。その中の1つが、不妊治療の保険適用化です。

 

今まで、不妊治療は自由診療だったため、子供を望む人たちのなかには、金銭的な理由で断念する人もいました。不妊治療に助成金制度を設けている自治体もありますが、すべての治療費をまかなうことは難しく、十分なサポートがある状況ではありませんでした。

 

不妊治療の保険適用化は、そういった金銭面の課題を解決し、人口減少に歯止めをかけることに繋がります。今回は、不妊治療を保険で受けるための条件や負担額、よくあるQ&Aについてお伝えします。

 

 

 

不妊治療が保険適用に

不妊治療は、令和4年4月から保険適用とされることになりました。これは、生殖医療技術を使った不妊治療の有効性や安全性が認められたことを意味します。

 

ひと口に不妊治療といっても、その治療方法はさまざまなものがあります。まずは保険適用となった不妊治療の種類について見ていきましょう。

 

そもそも不妊治療とは?

不妊治療とは、不妊に悩む夫婦や男女が受ける治療のことです。一般不妊治療と生殖補助医療の2つに分けられ、状況や症状に合わせて治療法を選択します。

 

・一般不妊治療:タイミング法、人工授精

・生殖補助医療:体外受精、顕微授精

 

生殖補助医療に含まれる治療には、採卵、採精、受精卵、肺培養、胚凍結保存、胚移植があります。これら加えて実施される治療には、保険適用となったものや先進医療として保険と併用できるものがあります。

 

 

 

不妊治療が保険適用になる条件

不妊治療を保険適用で受けるときに注意したいのは、すべての人が保険適用になるわけでないという点です。ここでは、不妊治療を保険適用で受けるための条件についてお伝えします。

 

年齢

不妊治療では、治療法によって年齢制限が設定されおり、体外受精、顕微授精といった生殖補助医療を受ける際には、「治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること」が条件となっています。

 

一方、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療については、年齢制限が設けられていません。

 

治療回数

治療受ける回数についても、治療法によって制限があります。一般不妊治療については回数制限が設けられていないですが、生殖補助医療については、年齢に合わせて回数に制限があります。

 

初めて治療を開始した時点の女性の年齢が40歳未満の場合、1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は、1子ごとに通算3回まで生殖補助医療を受けることができます。

 

 

 

保険適用で行う不妊治療の窓口負担額

保険適用での不妊治療の負担額は、医療費の3割です。ただし、生殖補助医療の種類によっては高額になる場合もあるため、高額療養費制度を活用することができます。

 

高額療養費制度とは、医療費の自己負担が一定の金額(自己負担限度額)を越えた場合に、払い戻される制度です。自己負担限度額は、年齢や所得によって設定されています。

 

医療費が高額になることがあらかじめわかっている場合には、限度額適用認定証を申請し、窓口で提示すると、窓口での支払い負担額が減るので便利です。上限額や手続きについて知りたい場合は、加入している医療保険者に確認しましょう。

 

 

 

保険で行う不妊治療についてのQ&A

では、保険適用で行う不妊治療について、よくあるQ&Aを見ていきましょう。

 

必要な準備、手続きはある?

不妊治療に必要な準備は特にありません。治療歴がある場合などには、医療機関や担当医などに伝えましょう。

 

先進医療を受ける時には、治療内容や費用についての同意が必要です。医療機関と相談して手続きを進めてください。高額医療費制度を利用するのであれば、加入している医療保険者で手続をしましょう。

 

医療機関であれば保険が使える?

医療機関が保険適用内で不妊治療を行うためには、地方厚生局に届出を行わなければなりません。不妊治療を保険適用内で受けたい場合は、厚生労働省のホームページに掲載されている医療機関を確認しましょう。

 

事実婚の場合でも保険で治療を受けられる?

事実婚も対象となります。ただし、事実婚の確認や書類の提出を行うことがあるようです。

 

採卵回数は決まっている?

採卵回数は、医師の治療計画によって決められます。採卵で卵子がとれなかった場合などは、再度採卵を行うこともあります。

 

治療の中断はできる?

不妊治療の継続は、患者さんの判断にゆだねられます。胚の保存についても、継続して不妊治療を行いたい場合には、保険適用で保存できるケースがあるようです。詳しくは医療機関に確認しましょう。

 

令和4年4月以前から不妊治療をしているケースではどうなるの?

助成金の指定医療機関や学会の登録施設で作成・凍結された胚については、基本的には保険適用となります。詳しい内容は医療機関に確認しましょう。

 

胚移植の回数は令和4年4月以前の実績も含まれる?

胚移植の回数は、保険適用内で行った回数のみを数えます。過去の助成金利用や治療は回数に含めないこととされています。

 

不妊についての相談窓口はある?

都道府県や指定都市などでは不妊専門相談センターを設置しています。不妊に悩む夫婦に対して医師や助産師などが相談に対応したり、医療機関ごとの不妊治療の実施状況などについて情報提供を行ったりしています。

 

 

 

不妊治療を保険適用で受けるなら

不妊に悩む夫婦にとって、不妊治療は最後の砦といえます。不妊治療が保険適用となったことは、金銭的な負担の軽減につながるため、精神面にも良い影響を与えるでしょう。不妊治療を受けるのであれば、治療方法や制度について理解を深め、治療を受けることが大切です。