2023/09/25 コラム

著者:Africatime編集部

ピロリ菌とは?ピロリ菌で発症する病気と治療法

ピロリ菌

ピロリ菌とは?ピロリ菌で起こる病気と治療法

 

ピロリ菌に感染するとさまざまな病気を発症する可能性が高まります。死に至る病気を発症することもあるため、ピロリ菌に感染しないようにすることはもちろん、感染していることが分かったら早急に対処することが大切です。

今回は、ピロリ菌について詳しく解説するとともに、ピロリ菌に感染することで発症する病気や治療法についてお伝えします。

 

 

 

ピロリ菌とは?

ピロリ菌の正式名は「ヘリコバクター・ピロリ」です。ヘリコは「らせん」、バクタ―は「細菌」、ピロリは「胃の幽門(ピロルス)」を指します。

 

ピロリ菌は酸性の強い場所を好むため、強酸性下の胃の中で発見されやすいのですが、実は酸性に強い菌ではありません。さらに、酸素がある場所では発育できないことが分かっています。では、ピロリ菌にとって、決して住みやすいとはいえない胃のなかで、どうやって生きているのでしょうか。

 

ピロリ菌が胃で生きられる理由

胃の内側は、胃自身が胃酸にさらされないように保護粘液で覆われており、ピロリ菌は、この保護粘液を使って二酸化炭素とアンモニアを作ります。

 

アンモニアは胃酸に触れることで中和されるため、胃のなかの酸性度が低下。二酸化炭素も増えるため、酸素濃度も下がります。このように、ピロリ菌は胃の保護粘液を使って自身の住みやすい環境を作り出しているのです。

 

続いて、ピロリ菌に感染する原因と感染した時の症状について見ていきましょう。

 

ピロリ菌に感染する原因

ピロリ菌に感染する原因は、実は明確になっていません。しかし、ピロリ菌は衛生環境が整っていない時代に生まれた人の感染割合が高く、衛生環境が整っている現在は、若い世代の感染率は低下傾向にあります。

 

また、海外のデータから、衛生環境が早期から整っている欧米は感染者が少なく、衛生環境が未発達の発展途上国では感染者が多いことが分かっています。このことから、ピロリ菌は水や食べ物と一緒に口から感染するという説が考えられています。

 

ピロリ菌の感染症状

ピロリ菌は感染しても無症状であることが多いとされています。しかし、感染者のなかには、症状が現れる人もいます。ここでは、「消化器系」と「消化器系以外」の感染症状について詳しく見ていきましょう。

 

【消化器系症状】

胸やけ、胃もたれ、嘔吐、みぞおちの痛み、胃酸の逆流、腹部膨満感、腹痛

【消化器系以外の症状】

血小板減少性紫斑病、慢性蕁麻疹、鉄欠乏性貧血

 

これらの症状は、ピロリ菌の感染によって発症する病気の症状でもあります。こういった症状が現れた場合には、なるべく早く検査を受けるようにしましょう。

 

 

 

ピロリ菌で発症する病気

ピロリ菌の感染によって発症する病気は、主に胃や腸に関係するものです。詳しく見ていきましょう。

 

慢性胃炎

慢性胃炎は、胃の炎症が継続して続くことで起こる病気です。主な症状は、みぞおちの痛みや胃の不快感、吐き気などです。慢性胃炎の原因の大半は、ピロリ菌感染といわれています。

 

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎は、長期間、慢性胃炎の治療を行わずにいることで発症します。胃の炎症が長期間続くと、胃の粘膜の破壊と修復が繰り返されることで、粘膜が薄くなります。

 

この状態を萎縮性胃炎と呼び、ピロリ菌の感染が原因の場合、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープといった病気を発症する可能性が高くなるといわれています。

 

胃潰瘍

胃潰瘍とは、傷ついた胃の粘膜に胃酸や食べ物などによる刺激が加わることで穴が開き、胃の壁にくぼみができた状態を指します。胃潰瘍の主な症状は、腹痛や背部痛、吐き気、胃のもたれなどです。

 

出血がある場合には、吐血や黒色便、タール便などが現れることもあります。

 

十二指腸潰瘍

十二指腸も胃と同様に、胃酸によって傷つかないように保護粘液でコーティングされています。しかし、ピロリ菌に感染すると、胃酸が十二指腸の粘膜を傷つけてしまい、えぐれるほど進行した状態を十二指腸潰瘍と呼びます。

 

主な症状は、みぞおちの痛みや吐血、黒色便などです。

 

胃がん

胃がんは、胃の粘膜にがん細胞が無秩序に増殖することで発症します。ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍を発症しやすくなるため、胃がんになりやすくなることが分かっています。

 

早期の胃がんは、症状がない場合も多く、症状が現れた時にはかなり進行していたということもあるようです。胃がんの主な症状は、胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気などです。

 

がん細胞から出血している場合には、黒色便なの症状が出ることもあります。

 

 

 

ピロリ菌に感染した時の治療法

ピロリ菌に感染していることがわかったら、除菌をする必要があります。一般的には、胃酸の分泌を抑える薬と抗生剤を1週間しっかりと飲み切る治療法です。この方法で、約80%の人が除菌に成功するといわれています。

 

治療後は、除菌ができたかを確認し、除菌に失敗した場合には二次除菌を行います。

 

 

 

ピロリ菌の感染を予防するために

ピロリ菌は、衛生環境が整っていない場所で感染しやすいことが分かっていますが、親から子へ食べ物を通して感染することが多いともいわれています。知らぬ間に、子供にピロリ菌を移さないよう、思い当たる症状がある場合にはピロリ菌の検査を受けましょう。

 

家族のなかに陽性者がいる場合には、家族全員が検査を受けることで、より確実に、ピロリ菌の感染予防できるでしょう。