2023/03/29 コラム

著者:Africatime編集部

大病院が紹介状を必要とする理由とは?紹介状を持参するメリットを紹介

大病院

大病院が紹介状を必要する理由とは?紹介状を持参するメリットを紹介

 

 

大病院を受診する際、多くの場合、紹介状を提出するよう求められます。大病院を受診に、なぜ、紹介状が必要なのでしょうか。今回は、大病院が紹介状を必要とする理由と紹介状を持参するメリット、紹介状を書かれることの意味についてお伝えします。

 

 

 

紹介状を大病院が必要とする理由

大病院が紹介状を必要とする理由は大きく分けて2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

医師が病状や治療経過を把握するため

診療所から大きな病院へ紹介されるとき、一般的には紹介状を持っていくようにいわれるでしょう。患者さんによっては、今まで検査したデータは自分ですべて保管しているし、症状についても自分で伝えられるので、紹介状はいらないのではないかと思う方もいるかもしれません。

 

しかし、紹介されている医師が本当に知りたいことは、検査データや現在の症状だけではありません。最も知りたいことは、紹介状を書いている医師が「どういった病気を想定して、どんな治療を行い、どういった治療効果が得られたか、または得られなかったか」という点です。検査データや症状についてはあくまでも補助的なものということです。

 

患者さん本人から直接治療経過を聞き取ることはできるでしょう。しかし、紹介状に記載されていれば、より明確に詳しく把握することができます。紹介状は紹介される医師が、前任の医師の診断や治療経過などを把握するためのものなのです。

 

医療機関が連携するため

医療機関は規模によって役割が異なります。「医療機関の機能分化」と呼ばれており、各医療機関が連携しながら、対応する患者さんを分担することで、より質の高く効率的に医療の提供に取り組んでいます。

 

中小規模の病院や診療所は、地域の患者さんの窓口としての役割を担っています。風邪や軽度の怪我など、身近な疾患に対応していくなかで、高度な医療を必要とする患者さんに対しては、適切な医療機関を紹介するという機能が求められています。

 

この「紹介」で、必要とされるのが「紹介状」です。大病院は紹介状を元に、専門的な医療を必要とする患者さんの診察・治療を行います。専門的な治療が必要ない程度に回復した患者さんについては、紹介状を用いて中小規模の病院や診療所へ引き継ぎます。

 

大病院に、風邪や軽度の怪我で受診する患者さんが増えてしまうと、専門的な治療を必要とする患者さんを受け入れることが難しくなるかもしれません。そのため、医療機関によって役割を分担し、患者さんが適切な治療を受けられるようにするため、紹介状を使って連携しています。

 

 

 

大病院の受診時に紹介状を持参するメリット

紹介状を持参せずに大病院を受診すると、基本的には「特別の料金」が徴収されます。

 

【初診】

医科:5,000円以上

歯科:3,000円以上

 

【再診】

医科:2,500円以上

歯科:1,500円以上

 

具体的な金額は病院が自由に決められます。そのため、大病院を受診する際は、紹介状を持参する方が医療費を節約できるのがメリットです。「特別の料金」は以下のような大病院が徴収します。

 

・特定機能病院

・許可病床※の数が400床以上の地域医療支援病院

※許可病床:医療法の規定に基づき許可等を受け、又は届出をした病床

出典:紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。 診療所や病院を適切に使い分けましょう。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

 

大病院を受診したい場合、まずは近隣の診療所や中小規模の病院を受診し、大病院での治療の必要性について診断を受けましょう。専門的な治療を必要とする場合は、紹介状が作成されます。

 

「特別の料金」を徴収されない患者さん

大病院を受診する患者さんのなかには、「特別の料金」を徴収されない人がいます。具体的に見ていきましょう。

 

・救急の患者さん

・国・地方の公費負担医療制度の受給対象者さん

※地方単独の公費負担医療の受給対象者さんについては、事業の趣旨が、特定の障害・疾病等に着目しているものである場合に限る。

・無料低額診療事業の対象患者さん

・HIV患者さん(エイズ拠点病院における初・再診のみ)

・その他、医療機関の判断で、定額負担を求めなくてよい場合

出典:紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。 診療所や病院を適切に使い分けましょう。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

 

上記の患者さんについては、「特別の料金」が徴収されないことになっています。

 

 

 

中小規模の病院については紹介状が不要

地域によっては、診療所やクリニックが近隣になく、中小規模の病院を受診したくても、紹介状を書いてもらえないこともあるでしょう。実は、中小規模の病院は、紹介状を持参せずに受診できます。

 

先にもお伝えした通り、「特別の料金」の支払いがある病院は限られています。特定機能病院と呼ばれる病院と、ベッド数が400床以上の病院です。さらに、以下の病院については、「特別の料金」が任意とされています。

 

・一般病床:200床以上

・許可病床:400床未満

 

つまり、ベッド数が200床以下の中小規模の病院については、かかりつけ病院として受診できるということです。もし紹介状なしで受診できるのか分からない場合は、電話やメールで問い合わせしてから受診すると安心でしょう。

 

 

 

「紹介状を書かれる」ことの意味

大病院を受診すれば、どんな病気も診てもらえると安心できるかもしれません。しかし、紹介状を書かれるということは、重症な疾患を患っているか、その病院でしか検査や処置ができないということを意味しています。

 

詳しい検査を受けたい患者さんのなかには、「かかりつけ医師が大病院に紹介状を書いてくれなかった」と残念に思う人がいるかもしれません。しかしそれは、大病院を受診するほど「重症ではない」「希少な疾患ではない」ということの裏付けでもあります。

 

紹介状の意味や役割を理解し、紹介状が書かれたときは相応の心構えが必要だということを念頭においておきましょう。