2023/02/24 コラム

著者:Africatime編集部

病院とクリニック、医院、診療所の違いとは?役割と医療施設をつなぐ紹介状について解説

病院と診療所の違い

病院とクリニック、医院、診療所の違いとは?役割と医療施設をつなぐ紹介状について解説

街中には、病院・診療所・クリニック・医院とさまざまな名称の医療施設があります。それぞれ名前が異なりますが、何がどう違うのか理解していない人もいるのではないでしょうか。

今回は、病院、診療所、クリニック、医院の違いと役割をお伝えするとともに、医療施設をつなぐ役割を持つ紹介状について解説します。

 

 

 

医療法上の病院と診療所の違い

医療施設の種類は、医療法で定められています。医療法上では、病院と診療所のみ明確な違いが記載されており、医院やクリニックについては記載されていません。

 

まずは、病院と診療所の違いについて見ていきましょう。

 

病院

医療法上では、病床の数が20床以上の医療施設を病院としています。病院は傷病者に対して科学的かつ適正な診療ができる必要があるため、十分な入院施設が整えられていることに加え、構造や設備などについても充実させることが求められています。

 

医療法では20床以上の病院であっても、その機能や設備によって以下のように細かく分類されています。

・一般病院

・特定機能病院:高度な医療を提供できるなどの特徴がある病院

・地域医療支援病院:地域医療を担うかかりつけ医、かかりつけ歯科医の支援などがある病院

・精神病院:精神病床のみを有する病院

・結核病院:結核病床のみを有する病院

 

診療所

診療所については、病床の数が19床以下の医療施設としており、病院と比べると、構造や設備の規制が緩和されています。必ずしも入院設備を有する必要はありません。

 

 

 

医療法ではクリニックと医院の定義がない

医療法では、病院と診療所のみが定義され、クリニックや医院は定義されていません。しかし、街中にはクリニックや医院を名乗る医療施設があります。これは、診療所の機能がある医療施設は、診療所の呼称としてクリニックや医院といった表記を自由に選択できるからです。

 

そのためクリニックや医院は、診療所と同等の医療設備を有していることから、「病院」と表記することはできません。

 

 

 

「病院」と「診療所・クリニック・医院」の役割

医療施設が、「病院」や「診療所・クリニック・医院」に分類されているのには理由があります。

 

かつては、医療機関の規模に関わらず患者さんは自由に病院を選ぶことができました。しかし、軽度な症状でそれほど専門的な治療を必要としない患者さんが、安心できるという理由で大きな病院を受診することがあります。

 

そのため、専門的な治療が必要な患者さんを診療する時間が限られてしまっていることが問題視されていました。そこで、国はそれぞれの医療施設が持つ機能を十分に発揮できるようにするため、病院・診療所・クリニック・医院の役割を明確にしました。

 

加えて、患者さん自身が受診する医療機関を使い分けられるように、「病院」を受診する際は紹介状を持参することで、診療費を抑えられる仕組みとしています。

 

「診療所・クリニック・医院」の役割

「診療所・クリニック・医院」は、体調が悪い時や風邪を引いた時など気軽に受診し相談できる地域のかかりつけ医、かかりつけ病院として機能を求められています。比較的軽度な症状の疾患について治療にあたるのが「診療所・クリニック・医院」の役割となっています。

 

「病院」の役割

一方、病院は診療所やクリニックなどで診断や治療が難しい疾患を治療する役割があります。そのため、精密検査や専門的医療、高度医療などを提供できることが病院には求められています。

 

 

 

 

病院と「診療所・クリニック・医院」をつなぐ紹介状について

大きな病院を受診する時に必要な紹介状。正式には、診療情報提供書と呼ばれており、病院と「診療所・クリニック・医院」をつなぐ役割があります。

 

ここでは、紹介状に記載されている事項と、紹介状を使用するメリットについて見ていきましょう。

 

紹介状の記載事項

紹介状には、患者さんについて以下のような事項が記載されています。

・基本情報

・紹介の目的

・現在の主な症状

・治療経過

・服用薬

・検査データ

・レントゲン写真

紹介状でやり取りを行うのは、医師が患者さんから聞き取りを行う前に、患者さんの大まかな状態を把握することを目的としています。

 

紹介状のメリット

紹介状には基本的な情報が記載されているため、1から検査をし直すといったことが避けられるのがメリットです。基本的な検査をパスし、詳しい検査を行うことができるため、時間や費用の面でも節約できるでしょう。

 

また、初診時に紹介状がなく病院を受診した場合は、選定療養費と呼ばれる特別料金を請求されます。病院を受診するのであればかかりつけ医に紹介状を書いてもらうのがおすすめです。

 

 

 

「病院」と「診療所・クリニック・医院」を使い分けよう

病院や「診療所・クリニック・医院」は機能や役割が異なります。そのため、症状や病態に合わせて受診する医療施設を使い分ける必要があります。

病院で治療や検査を受けたいのであれば、まずは「診療所・クリニック・医院」を受診し、紹介状をもらってから受診するようにしましょう。