2021/10/28 コラム

著者:Africatime編集部

ドローンによる医薬品配送の実証実験開始!!実現なるか!?

ドローンによる医薬品配送

ドローンによる医薬品配送の実証実験開始!!実現なるか!?

2021年6月に内閣官房、厚生労働省、国土交通省が連名で「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」を都道府県宛に通知しました。薬局や医薬品の卸販売業者がドローンを活用して医薬品を届けるようになる日も近いかもしれません。

私たちの生活にどのような変化をもたらすのでしょうか。

 

ドローンによる医薬品配送を行う場所

ドローンを使った医薬品配送はどのような場所で行われるのか考えてみましょう。
卸売販売業者から病院や薬局
医薬品卸売販売業者から病院や薬局への医薬品配送に、ドローンを使うことが考えられます。現在は、卸売業者の各支店から各医療機関へ医薬品を配送しているケースがほとんどで、そこには人件費や輸送費などがかかります。

車を使った配送は交通状況によって配送時間が異なるため、緊急時に使用したい医薬品の到着に時間がかかるというデメリットがあります。ドローンを使うと、人件費や輸送費、配送時間の削減が期待できるため、卸販売業者や病院、薬局のメリットは大きいでしょう。

薬局から医療施設

介護施設などで療養している患者さんの薬の配送も行われるでしょう。介護施設に薬剤師が常駐していない場合、調剤薬局の薬剤師や施設の看護師が処方薬の管理や説明を行います。

現在は、調剤薬局の薬剤師などが、処方薬を調剤し医療施設へ運ぶのが主流です。ドローンでの医薬品配送が可能になると、これまで距離や時間の問題で訪問できなかった医療施設などに薬剤師が介入できるようになります。

ドローンでの医薬品配送を行うためには、薬剤師によるオンライン服薬指導が必須であるものの、利便性の向上が期待されます。ドローンでの医薬品配送が実現すると、インターネット環境が整った施設で活用されるようになるでしょう。

例えば、患者さん個々に服薬指導を行ったあと、ドローンを使って数名から数十名分の処方薬を一気に運び、施設の看護師などから配るという流れになるのではないでしょうか。

 

薬局から患者宅

自宅療養中の患者さんへドローンを使って医薬品配送を行うのは、少しハードルが高くなるかもしれません。まずは、ドローンが患者さんの自宅にしっかりと着地する必要があります。

加えて、医療施設のように看護師などの医療従事者が常駐しているわけではないため、間違いなく服用できるかどうかの確認についても行う必要があるでしょう。

マンションの部屋番号をしっかりと認識できるといったドローンの技術的な問題と、適切に薬を服用するための環境整備が課題です。ドローンを使って患者さんの自宅へ医薬品を配送するのは、時間がかかるかもしれません。

 

ドローンによる医薬品配送が求められる状況とは

ドローンによる医薬品配送は、どのような状況での活用が期待されているのでしょうか。

山間部や離島などへき地への配送

ドローンを使った医薬品配送は、山間部や離島などの医療資源の少ない地域に住む患者さんにとってメリットが大きいです。

電子処方せんシステムの整備が進むと、オンライン診療で処方せんを発行、オンライン服薬指導で処方せんの調剤と服薬指導、ドローンを使って自宅配送と、一貫したオンライン医療サービスの実現が可能です。

もちろん、卸売販売業者から病院や診療所などの医療機関へ医薬品配送も可能となり、へき地の医薬品流通システムが大きく変わるでしょう。

災害時などの緊急配送

災害時などの緊急配送にもドローンの活躍が期待されます。災害時は交通機関が麻痺しますので、車などを使った医薬品配送は難しいでしょう。ドローンを使うことで、緊急で必要な医薬品を大学病院の屋上に配送したり、孤立した集落へ医薬品を運んだりすることが可能です。

 

ドローンでの医薬品配送の課題

ドローンによる医薬品配送には数点の課題があります。

品質の確保

医薬品配送における課題の1つに、品質の確保があげられます。ドローン着地時の衝撃に耐えられるよう梱包を行うことはもちろんですが、温度管理もしっかりと行わなければなりません。医薬品の中には、冷蔵庫での保管が必要なものも少なくないため、ドローンの出発から患者さんの手に渡るまでの間、品質の確保をするための工夫が必要です。

不時着時の対応

ドローンが墜落や不時着した場合に備え、医薬品が確実に回収できるようにGPSを付けるなど、ドローンの状況を把握するためのシステムが必要です。また、患者さんのプライバシー確保にも万全を期さなければならないため、本人と関係者以外は開封しないよう記載したり、カギをつけたりなどの措置も必要とされています。

患者宅への医薬品配送はオンライン服薬指導が必須

処方薬の配送については、オンライン服薬指導が必須です。そのため、患者さんや医療施設へ医薬品配送を行う場合、インターネット環境を整備しなければなりません。オンライン服薬指導を行えない患者さんや医療施設は、ドローンによる医薬品配送ができないことになります。

 

ドローンによる医薬品配送に期待高まる

医薬品をドローンで配送するためには、さまざまな課題があります。しかし、実現すれば、医薬品流通のあり方が大きく変わるでしょう。私たちの生活がより便利になる日も近いかもしれません。

以上、ドローンによる医薬品配送の実証実験開始!!実現なるか!?について記させて頂きました。