転科はOK？専門科目ごとのトレンドチェック

キャリアアップの一貫として、積極的に転職活動をしている医師も多いと聞きます。医師の転職活動で一般的なキャリアアップは主に、内科、外科、などの同じ科の医師を続けながら、勤務先の病院を変える方法です。その他にも数年がかりで身につけた専門的なキャリアである「科」を変える転職（転科）方法もあるのをご存知でしょうか？

今回は、専門科目ごとのトレンドチェックとして、昨今人気が高い専門科のひとつである美容整形外科への転職（転科）についてお届けしたいと思います。

転職で「転科」ってあるの？

某転職サイトのアンケート結果によると、医師が「転科する」という大きなキャリアチェンジには、主に以下の３つの理由があることが分かっています。

理由１.　現行のキャリア（専門性）に不満がある

専門医としてキャリアをスタートさせた病院の労働環境や、診察する患者の総数に不満を感じている場合があるようです。他にも、現行の専門性を極めていく過程で、新たな分野や新たな専門性に出会い、転科を考える人も多いようです。

理由２.　体力的にも精神的にも限界値を迎えている（ストレスがある）

夜勤、当直、長時間労働などの労働環境に限界を感じ、転職（転科）を考える医師が多いようです。患者の命を預かる医師という仕事柄、特に外科や救命救急、集中治療室などでの勤務が主なストレスの原因となる場合があるようです。

理由３.　将来、開業を考えている

将来、開業した際に、多くの科を診療できるように、複数の科においてキャリアを積む医師も多いようです。開業医として、内科と心療内科、婦人科と産婦人科、といったように、自分の病院で提供できる科目を増やしておくことも賢いキャリア形成のひとつといえるでしょう。

専門科で人気がある科は？

最近の傾向として、QOL（Quority Of Life 生活の質）の向上、ワークライフバランスなどを意識している医師が増えています。その結果、夜勤、当直、長時間労働などの労働が少なく、プライベートの時間を確保しやすい専門科が人気のようです。

厚生労働省のデータによると、麻酔科、小児科、精神科の３科が人気が高い傾向にあります。いずれも「診療時に精神的な負担がかからない」、「満足度が高い」、「やりがいが持てる」など、医師のQOL（Quority Of Life生活の質）の向上につながることが理由として上げられています。その他にも「激務を避けられる」、「重篤患者数が少ない」、「命の危険性につながりにくい」、なども麻酔科、小児科、精神科の３科が人気の理由です。

専門科で人気のない科は？

では逆に人気のない科はどこでしょうか？先で取り上げた理由のとおり、激務の専門科は人気が減少しているようです。特に外科は、労働時間が長い、残業時間が長い、訴訟が起きやすい、などの理由により、年々志望者数が減少しています。

人気の転科先

専門科別の人気度が分かったところで、実際に人気のある転科先は何科でしょうか？

美容皮膚科・美容外科

皮膚科は元々、患者の急変などのような命に関わる緊急性が少ない科でもあります。また勤務時間も通常通り。長時間にわたる残業や、病院からの呼び出しなども基本的には皆無です。したがって、医師の心身への負担を考えながら、医師自身の状況をコントロールしながら勤務することができます。

特に美容皮膚科は、メリットが多くありますので順にご紹介していきます。

まずは時間。定時で上がることがほとんどとなりますから、医師自身の、心身への負担は考えにくいでしょう。次に高収入であること。美容皮膚科は自由診療を扱う機会がほとんどですから、高年収を目指しやすくなるでしょう。

美容外科においてもほぼ同じことが言えます。美容外科においても労働時間がきっちりと決められている場合が多く、残業はほとんどありません。昨今においては、一般女性の美意識が向上したため、特に都市部での需要が高まっており需要の高い専門科となっています。

以上の理由から、結婚、出産を迎える女医のキャリア形成の場としての人気も高まってきています。給与面においても、一般的な医師の給与額１５００万円を遥かに上回る２０００万円台と言われていますから、人気が高いのも頷けます。

眼科（開業目的）

眼科も、患者の急変などの命の危険に関わる緊急性が少ない専門科と言えるでしょう。

視力矯正のためのレーシック手術や、その他の手術を毎日行う場合もありますが、眼科の手術は、どれも半日程度で終了する場合がほとんどですから、勤務時間が長い、残業が多いなどのストレスや緊張感、プレッシャーからは解放され、短期集中で仕事に打ち込むことができるでしょう。

眼科もQOLの向上を目指すことが可能であり、ワークライフバランスを意識しつつ自身の賢いキャリアアップ形成も可能と言えるでしょう。

眼科には出産後、育児と仕事のワークライフバランス（仕事の両立）を図る女医も多く在籍しています。医療機関で専門知識を学んだあと、開業医として開業し、医師と経営者として手腕を発揮する事もできます。これらの理由から、女医の賢いキャリア形成には人気の高い科のようです。

転科は医師にとって大きなキャリアチェンジ、ステップアップのチャンス。賢いキャリア形成のための転科はOKといえるでしょう。