ランドセル症候群をご存知ですか?

ランドセル症候群をご存知ですか?
ここ数年「ランドセル症候群」という言葉を見かけるようになりました。「ランドセル症候群」とは、ランドセルを背負って通学することで現れるあらゆる不調の総称です。
そもそも、ランドセルとは、何か悪いものなのでしょうか?今回はこのランドセル症候群について分かりやすく解説していきたいと思います。
ランドセル症候群とは?
ランドセル「症候群」と聞くと、なんとなく悪いもの?病気なの?というネガティブな印象を受けたりしませんか?
ランドセル症候群とは、自分の体格、身長、体重に釣り合わない重いランドセルを背負うことで起きてしまう心と身体の不調のこと。つまりランドセル自体が悪いという訳ではなく、重たい荷物を背負っている「状態」についての論争という訳なのです。
不調について
では、自分に釣り合わない重たいランドセルを背負うことで起きてしまう心と身体の不調とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
心・精神的な不調
具体的に以下の3つが挙げられています。
1. 重い荷物を背負って長時間歩かなければならない憂鬱感
2. 重い荷物を背負って歩いているうちに学校に行きたくなくなる
3. 通学距離が長くなるほど通学が苦痛になる
小学生の荷物は年々重くなっていると言われています。小学校1年生で既に、ランドセル自体の重さに加え、教科書やノートを3.6kgランドセルに入れて通学しています。6年生になると、その重量は増え、毎日「ランドセルの重さ+約5.4kg」もの重量を背負って通学していることになるのです。
身体的な不調
続いて、身体的な不調にはどのようなものがあるのかご紹介していきたいと思います。
1. 重い荷物を背負うことによって肩こりや腰痛、筋肉痛などの痛みが生じる
先ほどもお伝えしたように、小学生の荷物は年々重くなっています。
例えば小学校3年生の荷物は、平均で4.7kg前後といわれており、これを平均体重30kgの子供が背負うと、自分の体重の16%分の荷物を背負って歩いていることに相当します。
これを大人の体重に換算すると、
大人の体重60kgの16%=9.6kg
になるのです。
あなたが毎日、10kg近くの荷物を背負い、何十分も歩くことを想像してみてください。恐らく、まだ成長途中の子供たちが、いかに大変な思いをしているかご理解頂けると思うのです。
この重みが、ランドセルの肩紐にぶら下がり、子供たちの肩や腰を圧迫し痛みが生じているのです。
また、授業で使用する教科書を学校に置いたまま帰宅する「置き勉」が禁止されている小学校では、平均重量を遥かに超える約10kgの重さの教科書やノートを毎日自宅に持ち帰る必要があり、これらが心身の成長の大きな妨げとなっていると言わざるを得ない状況になっています。近年ではタブレットやノートパソコンなども持ち帰る必要があり、子供たちのランドセルの中身は、どんどん増加傾向にあると言っても過言ではないのです。
2. 猫背や側わん症になる可能性がある
小学校にあがると、ランドセルを背負って通学するのが当たり前ですが、まだ筋肉や骨が十分に育っていない子供に重い荷物が入ったランドセルを背負わせると、身体のバランスが崩れ、猫背や側わん症になるリスクが高まります。
また、子供の成長に合わせてランドセルの肩紐を大きくしていかないと、成長途中の子供の背骨の発育の妨げとなりますので注意が必要です。肩紐はアジャスト式になっており、簡単に大きくできますから、お子さんの背丈の成長に合わせてサイズ調整をしてあげましょう。
改善策として誕生した「さんぽセル」
「小学生のランドセルの中身が重すぎる問題」に取り組む小学生が現れました。彼らは、クラウドファンディングでランドセルをキャリーバックのように運べる「さんぽセル」の商品開発に乗り出しました。
「さんぽセル」は、従来のランドセルの重さを90%も軽減してくれるという優秀な商品です。アルミのフレームにキャスターがついていて、そこにランドセルを乗せることで、まるでキャリーバックのようにランドセルを運ぶことができる画期的な商品なのです。
最終的に彼らは、発売と同時に3000件を超える注文を受け、その後も4ヶ月待ちという大ヒット作品を生み出すことに成功しました。
欧米では、小学生が背負う荷物の重さについてのガイドラインがあります。それによると、子供の体重の1割〜2割以内が限界であると定められています。
日本の小学校でも、このようなガイドラインがあれば、小学生のランドセルが重たい問題は解決される可能性もあるでしょう。
楽しいはずの学校生活が、重たい荷物によって不調になってしまうのは本末転倒。我々大人が、子どもたちの心身の健やかな成長を願うならば、子どもたちの不調をいち早く察知し、取り除いてあげる必要があります。
ランドセル症候群を発症する前に、未然に防げる対策を施し、楽しい学校生活を送ってもらえるようにサポートして行きたいですね。