2022/11/24 コラム

著者:Africatime編集部

糖尿病患者が病院で学ぶ?教育入院の内容とメリット

糖尿病

糖尿病患者が病院で学ぶ?教育入院の内容とメリット

糖尿病患者さんを対象とした教育入院があるのをご存じでしょうか。糖尿病患者さんのなかには、血糖値が上手くコントロールできずにいる方もいることでしょう。教育入院では、血糖コントロールを上手に行う方法を学べます。今回は、教育入院の内容やメリットなどについて見ていきましょう。

 

 

 

糖尿病患者さんの教育入院とは

糖尿病患者さんの教育入院とは、入院して食事や運動による治療について勉強するシステムのことです。患者さんが自主的に糖尿病のコントロールに取り組めるようにすることを目的としています。

 

糖尿病の治療では、薬物療法だけで血糖をコントロールすることは難しく、処方された薬を間違いなく服用することに加え、糖尿病患者さんに適した食事や運動を行う必要があります。

 

糖尿病患者さんの教育入院では、血糖コントロールが悪い理由や問題点を明確にし、患者さん自身が目標を決めて行動することを促します。退院後も継続して取り組めるよう担当の医師や看護師、管理栄養士などが中心となって教育入院に介入します。

 

 

 

糖尿病患者さんが教育入院で学ぶ内容

糖尿病患者さんが教育入院で学ぶ内容について見ていきましょう。

 

患者さんが自身の現状を把握する

まずは、患者さんが自身の現状について把握することから始めます。血液検査などは外来で行っていることが多いため、教育入院で改めて行うことは少ないかもしれません。

 

ただし、食後にどのくらい血糖値が上がるかなど、食事と薬物治療の評価をするために血糖測定を行うことはあります。患者さんはどのくらい食事を摂ると、血糖値がどのくらい上がるのかを把握することができます。

 

栄養について

糖尿病の治療において、食事のコントロールはとても大切です。そのため、糖尿病患者さんの教育入院では、栄養指導を行うことが大きな目的の1つとなっています。

 

糖尿病患者さんは食生活が乱れているケースも少なくないため、自身の体重や血糖値などに合わせた食事についての指導を受けます。また、血糖値がコントロールしやすい食材やメニューの選び方などを学ぶことで、食事による血糖コントロールの仕方を身につけていきます。

 

運動について

腎症などの合併症がない糖尿病患者さんは、適度な運動を行うことも血糖値をコントロールするために大切です。そのため、糖尿病患者さんの教育入院では、体力や体重などを踏まえた運動の仕方について学びます。

 

運動で体重の減量や血糖コントロールをするためには、有酸素運動と無酸素運動を上手に組み合わせることがポイントです。そのため、運動療法は、医師や理学療法士などの専門的な指導に沿って行う必要があります。

 

薬について

教育入院の対象となる糖尿病患者さんは、薬物治療をしていない患者さんや内服薬での治療をしている患者さん、インスリンを使用している患者さんなど、病院によってさまざまです。それぞれに合わせた薬物治療が行われます。

 

例えば、薬物治療を行っていない患者さんは、栄養療法や運動療法によって血糖コントロールができない場合、薬物療法の検討を行います。

 

薬物治療を行っている患者さんは、栄養療法や運動療法の効果に合わせて薬を調整したり、薬物治療のコンプライアンスやインスリンの手技などを確認したりといった指導を受けます。

 

体のケアについて

糖尿病患者さんは、さまざまな合併症が見られます。なかでも、末梢神経障害はよく見られる合併症。手足のしびれから始まり、糖尿病が進行すると痛みを感じる感覚が弱くなるといった症状がみられます。

 

手足の感覚が鈍るとケガや傷などに気が付きにくくなるため、化膿したり壊疽したりするケースも少なくありません。そのため、糖尿病患者さんは日頃から体のケアをすることが大切です。

 

教育入院では、手や足の状態を確認したり、巻き爪を予防したりと、体の状態を良好に保つ方法を学びます。

 

 

 

糖尿病患者さんが教育入院をするメリット

糖尿病患者さんが教育入院することのメリットについて見ていきましょう。

 

血糖コントロール

まずは、血糖コントロールが早急にできる点があげられます。著しい高血糖状態の場合、血糖値を正常値まで急激に下げると、低血糖症状が起こる場合があります。そのため、自宅で急激に血糖を下げるような薬物療法を行うのは難しいでしょう。

 

教育入院では、血糖値を管理しながらインスリン治療を行うことができるため、安全に血糖コントロールをすることが可能です。また、食事療法や運動療法を合わせて行うことで、インスリン治療から内服薬による治療へ切り替えられる可能性もあります。

 

自己管理能力の向上

糖尿病の治療では、自己管理能力が血糖コントロールに大きく左右します。どんなに薬物治療を行っても、正しく薬を服用できていなかったり、自宅で好きな物を好きなだけ食べていたりすると、血糖値をコントロールすることは難しいでしょう。

 

教育入院は、薬物療法や食事、運動の正しい知識を得られるため、自己管理能力の向上が期待できます。

 

 

 

教育入院で糖尿病の理解を深めよう

糖尿病患者さんの教育入院は、血糖コントロールをすることはもちろん、糖尿病の知識を深めることを目的としています。糖尿病で悩んでいる方は、教育入院を検討してもよいかもしれません。