2022/09/22 コラム

著者:Africatime編集部

何がおこっているの?医薬品不足で薬がない原因

医薬品不足

何がおこっているの?医薬品不足で薬がない原因

 

 

医療機関で交付された処方箋をジェネリック医薬品で調剤してもらう人もいることでしょう。ジェネリック医薬品は医療費を抑えられるため、意識して利用している方も少なくありません。

 

しかし、ここ数年程、ジェネリック医薬品の流通が悪くなっているため、ジェネリック医薬品を希望しても断られることがあります。一体何が起こっているのでしょうか。

 

 

 

ジェネリック医薬品の不足が起きている理由

ジェネリック医薬品が不足している原因は、医薬品メーカーによる出荷調整と出荷停止による供給低下です。2021年12月時点で、3000品目以上が出荷の調整・停止となっており、これは医療用医薬品の2割ほどになります。

 

出荷制限は徐々に解除されているものの、2022年5月時点でも供給が滞っている医薬品は多数あり、薬局や医療機関では入荷しにくい状況が続いています。

 

医薬品メーカーの製造工程に問題が

事の発端は、ある医薬品メーカーが出荷した錠剤に異物が混入していることが判明し、詳しく調査したところ製造工程に問題があったことから始まっています。それを皮切りに、各メーカーの製造工程を厳しくチェックする流れとなり、次々と出荷停止となるメーカーが出てきました。

 

出荷停止となったメーカーを扱っている薬局は、他のメーカーから薬を入荷します。全国の薬局が入荷先を探し、一斉にメーカーに発注するため、メーカーは通常よりも多く出荷しなければなりません。

 

供給が間に合わず在庫不足になり、出荷調整が起こりました。Aメーカーが出荷調整になれば、Bメーカーへ。Bメーカーが出荷調整になればCメーカーへ…となり、製造販売をおこなっている各メーカーが出荷調整をしながら供給する事態となっています。

 

政府によるジェネリック医薬品の推進

政府は国の医療費削減のため、ジェネリック医薬品の利用率を高めるための対策をしてきたことから、ジェネリック医薬品は幅広く周知されています。また、ジェネリック医薬品の使用割合の目標を80%としていることから、医療機関ではこの目標を達成するために、さまざまな働きかけをしてきました。

 

そのため、今では多くの患者さんがジェネリック医薬品を利用する状況にあります。需要が多いため、各メーカーがジェネリック医薬品の製造販売へ参入し、中には期限が切れた薬を再利用するというメーカーまで出てくるようになりました。

 

ジェネリック医薬品の需要が高まり、ジェネリック医薬品の製造販売に参入するメーカーが急激に増えたことも、原因の1つといわれています。

 

 

 

ジェネリック医薬品がない時の対処法

いつも使用しているジェネリック医薬品が調剤できない時は、多くの場合、異なるメーカーが製造する同じ有効成分のジェネリック医薬品が調剤されるでしょう。別のメーカーが製造するジェネリック医薬品が入荷できていない場合は、先発医薬品が調剤されます。

 

ジェネリック医薬品の供給が不足しているのであれば、先発医薬品を使用すればよいと考える人もいることでしょう。しかし、先発医薬品はジェネリックより値段が高く、患者さんの負担額も高まります。医療費を抑えるために、受診を控える患者さんが出てきてしまう点が問題です。

 

他のメーカーのジェネリック医薬品が調剤されるなら、大きな問題はないように思えますが、実はそうでもありません。変更されるジェネリック医薬品によっては、気を付けなければならない点があります。

 

 

 

医薬品の変更時に気を付けること

いつも使っている医薬品が変更になる場合、まずは薬剤師の説明をよく聞くことが大切です。疑問や不安があれば、その場で必ず確認し、納得して服用するようにしましょう。

 

ここでは、薬剤師の説明を聞く上でのポイントをお伝えします。

 

変更点や注意点をしっかり確認

同じ成分を使用した医薬品でも、飲み方が異なるケースがあります。1日1回服用するものもあれば、1日2回または3回服用するものもあるのです。1日1回の薬を1日2回服用してしまうと、効きすぎたり副作用が出たりする可能性があります。

 

その反対に1日2回の薬を1日1回で服用すると、効果が得られず、症状が悪化するかもしれません。流通状況を考慮して、同じ成分で服用方法が異なる薬が処方されることもあるため、処方薬が変わる場合は用法用量などの変更点や注意点についても確認するようにしましょう。

 

体調変化があればすぐに受診・相談を

ジェネリック医薬品は、薬の有効成分は同じだったとしても、使用されている添加物が異なったり、添加物の分量が異なったりするため、全く同じ薬というわけではありません。

 

そのため、人によっては効果に差が出ることがあります。アレルギーや発作などを抑えるために服用していた場合、効果不十分で体調変化が起こるかもしれません。

 

基本的にはジェネリック医薬品のメーカーが変更になったとしても、今までと同様の効果が得られます。とはいえ、いつもと違う薬を服用する場合は、服用開始から数日は体調変化に注意する必要があるでしょう。

 

 

 

ジェネリック医薬品不足はいつまで続く?

2021年秋に、ジェネリックメーカーの沢井製薬と東和薬品が大規模な増産計画を発表しました。2024年中にはジェネリック医薬品の不足が解消されると予想されています。

 

また、厚生労働省は医薬品メーカーに増産を要請し、医療機関にも処方に優先順位をつけるよう協力を求めています。一刻も早く、医薬品供給の安定が望まれています。