2022/07/26 コラム

著者:Africatime編集部

更年期と上手に付き合うためにできること

更年期と上手に付き合うためにできること

更年期と上手に付き合うためにできること

更年期や更年期障害について、なんとなくネガティブなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。そんなとき「嫌だな」「面倒だな」「憂鬱だな」と思う更年期と、上手に付き合っていける方法があるとしたら、知っておいて損はないはず。今回は、男性も女性も必ず通る「更年期」と上手に付き合うための対処法をお伝えします。

 

 

更年期はいつから始まるの?

更年期とは「閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた合計10年間」を指すと定義されています。例えば、あなたが45歳で閉経を迎えると仮定すると、更年期は40歳から始まり、50歳までの10年間が更年期ということになります。

 

ところが「何歳で閉経を迎えるのか?」実際のところ分からない場合がほとんどではないでしょうか。つまり「なんとなくの不調」が実は更年期の始まりだったということはよくあること。理由がはっきりしないままなんらかの不調を抱えている女性は実は多いのです(閉経のタイミングには個人差がありますので、上記の年齢はあくまでも目安としてお考えください)。

 

一方で、男性にも更年期があります。40歳を超えると一般的に生殖機能の衰え(機能不全障害)やホルモンバランスの乱れが生じやすく、自律神経出張症に似た「男性の更年期障害」が始まります。

 

 

更年期に入るとどうなるの?

更年期に差し掛かると、女性は卵巣機能が低下し女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します。すると減少したエストロゲンを分泌しようと脳が卵巣に指示を送ります。

 

ところが、機能が低下している卵巣はこれまでと同分量のエストロゲンを分泌することができません。すると自律神経が乱れ、心身に不調が現れます。男性も同様に、ホルモンバランスが乱れ、自律神経に支障を生じます。

 

男女ともに「以前のように体が動かない」といった体の不調に悩まされ、日常生活に支障をきたすようなつらい症状を訴える人が増えます。「ストレスが溜まる」「疲れが取れない」などのネガティブな感情が生まれやすくなることもあります。

 

そこでまず大切にして頂きたいことは、更年期が始まったことを自覚すること。人によっては、更年期って嫌だな、歳を取りたくないな、などのネガティブな感情を抱くこともあるかも知れません。その上で、自分の体の変化を少しづつ受け入れ、自覚することで、理由がはっきりしない不調=不安というネガティブに偏りがちな構造から抜け出しやすくなります。

 

例えば、専門的な知識を取り入れようと婦人科などの専門家の門を叩いたり、インターネットで情報を仕入れてみたり、できることから少しずつ始めてみるのも良いでしょう。

 

不安から抜け出すまでのタイムラグを少しでも縮めることが、毎日の生活の質を落とさないための大切なポイント。更年期に気づかないまま、自分の心と体が思い通りにコントロールできないことに対してストレスをためてしまうと、2次障害につながりやすく更なる悪循環を招いてしまう可能性もあるので注意が必要です。

 

 

更年期障害〜どんな不調があるの?不調のあれこれ

更年期に差し掛かった女性の8割が「心や体の変化があった」と自覚しています。これらのいわゆる更年期症状(心身の変化や不調)は、人によってさまざまな症状があり、日常生活に支障をきたしている状態を「更年期障害」と呼びます。

 

ここでは、更年期障害の一般的な不調のあれこれを心と体に分けてご紹介したいと思います。

 

・やる気がでない(倦怠感)

・イライラする

・怒りっぽい

・悲しい

・憂鬱、情緒不安定

・判断力や集中力、記憶力の低下

・不安

・不眠(夜になると不安が押し寄せる、夜中に目が覚める、熟睡できない、など)

 

・のぼせ、ほてり(汗が止まらない)、ホットフラッシュ

・手足の冷え、しびれ

・肌の乾燥(乾燥肌によるかゆみ)

・食欲不振、消化機能の低下

・閉経、月経異常

・性機能異常(粘膜の乾燥、ED、性行障害、など)

・ホルモンバランスの乱れ

・唾液分泌異常

・ドライアイ

・肩こり

・関節の痛み(関節が硬い)

・頭痛、めまい

・動悸、息切れ、胸が締め付けられるような感じ

 

*ここでご紹介している不調のあれこれは、あくまでも一般的な症状のごく一部です。心身の不調は個人差がありますから「つらい」と感じたら我慢をせず、すぐに専門医・専門家に相談しましょう。

 

 

更年期と上手く付き合うには?

誰にでも訪れる更年期。予想していなかったような変化が心や体に現れることもあるでしょう。

そんなときには心身の不調の原因である更年期障害にも治療法があるのだということをぜひ知っておいて頂きたいと思います。

 

専門家に相談

①婦人科:

女性の心と体の専門家として寄り添って頂ける存在です。最近では、婦人科医としてSNS発信をしている先生もいます。

 

例えば、婦人科医の高尾美穂先生は、YouTubeやTwitter、Instagram、LINE公式などを通じて「更年期について」や「女性の体の変化について」など、とても分かりやすく解説して下さっています。YouTubeチャンネル「高尾美穂からのリアルボイス」は登録者数6.4万人の人気チャンネルになっています。

 

高尾美穂オフィシャルサイト

高尾美穂からのリアルボイス

 

婦人科で受けられる代表的な治療方法は、ホルモン治療です。不足してしまうエストロゲンを薬で補充する治療なのですが、日本ではまだ広く浸透していない治療法なので、なんとなく怖いイメージがあるかも知れません。

 

欧米では逆に一般的に浸透している治療法で、更年期を迎えた女性がQOL(Quority Of Life)=生活の質の向上のために、ホルモン剤を気軽に利用しています。筆者の住むフランスでは、ジェルタイプのホルモン剤を皮膚から吸収する治療法が浸透しています。

 

このように、海外の例ではありますが、QOLを上げるためにできることを婦人科医に相談すると良いかも知れません。更年期障害の症状がつらい場合は、我慢ぜすに婦人科を受診しましょう。特に更年期障害はひとりひとり症状が異なりますから、問診やカウンセリングを通して、適切な治療方法を見つけ、心と体の安心に繋げて行きたいですね。

 

 

②心療内科:

心の問題の専門家として、あらゆるシーンで寄り添って下さる専門家です。更年期障害の症状として、情緒不安定、不安が強い、など鬱に似た症状が現れることも。

 

そんな時にはぜひ心の専門家にご自分の状態を聞いてもらうのも良いでしょう。心療内科では、向精神薬や、安眠をサポートするための薬などを処方してもらうこともできます。

 

 

③漢方医学:

冷えやのぼせ、痺れ、消化機能の低下、倦怠感、など、更年期障害の症状を、体質から改善することを目的とした治療法です。患者ひとりひとりの症状、体型、体質、などに合わせ調合された自然由来の薬を服用します。

 

西洋医学の薬とは違い即効性がないので、効果を感じるまでに時間がかかりますが、体質から改善し、自然治癒力を高める作用もあります。

 

 

健康管理

①食事管理:

栄養バランスの取れた食事を取ることも大切ですが、自分の体や消化機能に合わせた「適量を取る」ことは何よりも大切です。1回の食事量や、1日の食事回数などを見直し、自分にあった適量を取るように心がけましょう。

 

 

②運動管理:

普段の生活の中に、有酸素運動を取り入れてみましょう。毎日続けることが望ましいですが、大変であれば週に3〜4日でも良いでしょう。大切なことは続けることです。

 

ハードルを低く設定し、続けられる運動方法を見つけてみると良いかも知れません。ヨガ教室やスポーツジムに通うことも良いですが、例えば、車や電車、バスを使う代わりに、近くまで歩いてみるなど、日常生活の動きの中でちょっとした代案を取り入れると継続しやすいですよ。

 

 

③その他:

外出する気力と体力があれば、自分の好きな場所に行ったり、お気に入りのサロンでマッサージを受けたり、友達と楽しい時間を過ごすことも良いでしょう。

 

外出することが難しい場合は、寝室やリビングでアロマオイルを焚いてのんびりとした時間を過ごしたり、本を読んだり、ちょっと贅沢な時間を演出してみることをおすすめします。

 

 

女性の一生は年齢によって様々な変化が訪れます。その度に自分の心と体に不一致があるとストレスが生まれてしまいますから、我慢をせず、QOL(生活の質)の向上を目指していけると良いですね。