2021/11/25 コラム

著者:Africatime編集部

お酒を減らすための治療をご存じですか?

お酒の量を減らす方法

お酒を減らすための治療をご存じですか

お酒にまつわる病気にアルコール依存症があげられます。アルコール依存症は断酒の継続が治療の目標となりますが、断酒するためのスタートとして、お酒の量を減らす「減酒」から始めることがあるようです。

また、症状の軽い患者さんは、減酒だけの治療となる場合もあり、医師と相談しながら治療方針を決めていくことが大切です。今回は、断酒治療と減酒治療について解説するとともに、自分でお酒の量をコントロールする方法についてお伝えします。

 

お酒の量の減らし方は患者さんによって異なる

お酒の量を減らすための治療方法は、「断酒治療」と「減酒治療」があります。まずは、それぞれの治療に適した患者さんの例を見ていきましょう。

 

断酒治療が向いている患者さん

以下のような患者さんは、断酒治療を行った方が良いとされています。

  • ・入院治療が必要
  • ・お酒によるトラブルが多く、社会・家庭生活が困難
  • ・臓器障害が重篤で、命の危険がある
  • ・緊急治療が必要な症状がある

 

減酒治療を選択できる患者さん

以下のような患者さんは、減酒治療ができるかもしれません。

  • ・アルコール依存の自覚があり、強い飲酒欲求がない患者さん
  • ・社会・家庭生活が維持できている
  • ・うつ病などの疾患がなく、臓器障害が重篤ではない
  • ・重篤なアルコール離脱症状がない

 

断酒治療とは

まずは、断酒治療について詳しく見てきましょう。

 

治療ステージ

減酒治療は、「解毒期」「リハビリテーション期」「アフターケア」の3つの治療ステージがあります。「解毒期」はお酒の離脱症状や併存疾患の治療、「リハビリテーション期」は精神療法や集団活動といった社会生活に戻るため期間です。

「アフターケア」は医療機関への通院や自助グループへの参加をすることで、症状維持や再発防止に努めます。

 

心理社会的治療

断酒治療の治療ステージでは、それぞれ心理社会的治療が行われます。医療スタッフと数名の患者さんで集まり、お酒を中心としたさまざまなテーマを話し合う「集団精神療法」や、これまでのお酒に対する考え方などを変えることで行動や感情、生活の改善を図る「認知行動療法」などを行い、断酒の継続をサポートします。

 

患者さん同士が支え合う自助グループ

自助グループとは、共通の問題や悩みを抱えた人の集まりで、自主的に運営しているグループです。患者さん同士で治療経過を話したり、悩みを打ち明け合ったりすることで、連帯感が芽生え、断酒を挫折しにくくなるといった効果が期待できます。

 

減酒治療とは

つぎに減酒治療について見てきましょう。

 

治療ステージ

減酒治療の治療ステージは、「導入期」「治療開始時」「維持管理期」に分かれます。「導入期」は疾患としての理解を深め、離脱症状や併存疾患の程度を確認。「治療開始時」はお酒の量を設定したり、併存疾患や社会・家庭生活の問題についてチェックします。

「維持管理期」はお酒の量を見直したり、併存疾患や社会・家庭生活の問題について確認したりするとともに医療機関への通院を行い、状態維持や再発防止に努めます。

 

心理社会的治療

減酒治療では、心理社会的治療が中心となって行われます。お酒の量や服薬状況、健康状態などを確認しながら、お酒の目標量の達成や治療を継続することが目的です。

 

コンセプトは「ハームリダクション」

「ハームリダクション」とは、お酒を止められない患者さんはお酒の量を減らすことからスタートし、お酒にまつわるトラブルをできるだけ減らすという考え方です。アルコール依存症の治療に抵抗感を抱く患者さんに対して、ハードルを下げる効果があり、病気の重篤化を防ぐことが期待されています。

 

自分でお酒の量をコントロールする方法

自分でお酒の量をコントロールするためには、まず目標量を決めましょう。なるべく具体的な目標にすることが大切です。例えば、飲酒日数を減らし休肝日を作る方法があります。

お酒を飲まない曜日を決め、達成できたらカレンダーに○を付けると、モチベーションの維持につながりやすいでしょう。1日の量を減らすという方法もありますが、お酒を飲み始めると止まらなくなる人には向いていないかもしれません。

チャレンジしやすい方法をいろいろと試し、自身に合った方法を見つけましょう。コントロールができない場合は、専門家に相談することをおすすめします。

 

お酒と上手に付き合おう

お酒はコミュニケーションを円滑にしたり、ストレス発散になったりといった効果が期待できます。しかし、慢性的にお酒を飲みすぎると、健康を害したりお酒の失敗を繰り返したりなど生活に影響が出るかもしれません。上手にお酒と向き合うことが大切です。

以上、お酒を減らすための治療について記しました。